小児リハビリテーション(小児神経科・小児整形外科)

脳性麻痺の治療

1. 脳性麻痺とは

「胎児または新生児の脳に生じた病変によって運動と姿勢の発達が侵された状態」を言います。ダウン症などの染色体異常による運動の問題や、ミトコンドリア病などの進行性の病気によるものは含まれません。

脳性麻痺では、運動障害だけでなく知覚(感覚)、認知(知能)、コミュニケーション、行動にもしばしば問題が生じます。また、脳の病変自体が進むことはありませんが、てんかんを伴ったり、身体の成長に伴って動きが悪くなったり二次的な身体の変形を伴ったりすることがあります。

原因として最も多いのは、早期産で生まれたお子さんに生じる脳室周囲白質軟化症(PVL)です。それ以外にも早期産では脳室内出血およびその後の水頭症・孔脳症、そして核黄疸が原因となります。満期産で生まれたお子さんでは、仮死による脳のダメージや、産まれる前の脳梗塞、脳奇形などがあります。

 

2. 診断

診断のためには何よりも充分に時間をかけた診察が必要です。お子さんは大人と違って、命じられたとおりに動いたり、聞いたことに答えたりはしてくれません。森之宮病院ではマットの上でお子さんと一緒に遊びながら身体の動きを入念に観察します。また、知能やコミュニケーションなどの発達も総合的に評価し、脳性麻痺以外の疾患の鑑別も行います。

次に重要なのは、生まれた時の経過と、脳の画像検査です。これによって脳性麻痺の原因がわかり、症状と合わせて分類を行うことができます。分類とは、従来は「アテトーゼ型」「痙直型」など麻痺の状態だけを指していましたが、それだけでは脳性麻痺のお子さんが持つ様々な特徴を区別することはできません。森之宮病院では、「早期産児の核黄疸によるアテトーゼ型脳性麻痺」のように原因と症状を組み合わせて表現しています。

 

3. 分類

では、何のために詳しく分類を行うのでしょうか?

それは、明確に分類することでお子さんの将来像がよりわかりやすくなるからです。分類によって、いつの時期にどのような治療を行う必要があるかがはっきりとわかります。例えば、「早期産児の広範囲なPVLによる痙性四肢麻痺」のお子さんでは、乳児期後期に点頭てんかんを発症したり、追視ができるまでに時間がかかったりすることがわかっています。最初にしっかり診断すれば、てんかんを早く見つけて治療したり、物を見る練習を十分にしたりすることができます。

このような知識は広く一般に知られているものではありません。しかし、森之宮病院では豊富な経験と国内外の報告から情報を得ることによって、詳細な分類をもとに最適な治療プログラムを立て、ご家族にもアドバイスをすることができます。初めて受診された多くのお子さんのご家族が、私たちの話を聞くだけでも見通しが立ってよかったと満足されています。

 

4. 治療方針

脳性麻痺は治らない病気です。ですが、症状をできるだけ軽くすることもできますし、障害を持ちながらも充実した人生を送ることもできます。脳性麻痺の方で周囲から愛され、楽しみながら生活し、さらには社会に出て立派なお仕事をしている方もたくさんおられます。障害を軽くするだけでなく、楽しい家庭生活を送る、将来に向けて必要な準備をすることが、治療の目的です。

脳性麻痺は運動(身体)だけが問題ではなく、知覚、認知、コミュニケーション、行動、そして心にも問題が出ます。けれども、赤ちゃんの時は誰でもしゃべったり、字を書いたり、自分の気持ちを調節したりはできません。そのため、特に乳幼児期には身体以外の問題が見逃されてしまいます。

しかし、思春期や青年期に達した時、社会参加にとって大切なのは知能やコミュニケーション、そして自信です。過去には厳しい身体のトレーニングだけを受けて心が折れてしまったり、ご家族がいなければ何も決められない状態になったりしたお子さんがおられました。そうなってしまっては、充実した楽しい人生を送ることはできません。身体も、知能も、心もバランスよく成長することが何よりも大切です。

私たちは、ボバース概念(ボバース法という治療「法」ではありません)に基づいて以下のような介入を心がけています。

  1. 成長・発達を見据えた長期的な視野を持って治療にのぞみます。
  2. 多職種のチームでお子さんの様々な力を伸ばします。
  3. お子さんだけでなく、ご家族をサポートします。
  4. 神経科学に基づく有効な治療法を選択します。

 

5. 森之宮病院がしていること

上記の方針を実現するために、小児神経科医、小児整形外科医、セラピスト(理学・作業療法士、言語聴覚士)、看護師、臨床心理士が協力してお子さんとご家族に当たります。また、地域の療育園・保育園、保健センター、学校とも緊密に連携して、お子さんが最適の環境で力を伸ばせるように努力します。

小児神経科医は、脳性麻痺の診断と分類、発達全体の評価を行い、全体的な治療方針を提案します。また、緊張やてんかんなどの合併症に対する投薬を行ったりします。小児整形外科医は、身体の硬さや変形、脱臼などに対して手術やボツリヌス治療を行い、必要な装具や器機を設計・製作します。セラピストは幅広い視点を持ち、チームで共通の目標を立てて、綿密なリハビリテーションによってそれを達成します。

いずれの分野でも、日本でリーダー的な存在である専門家がチームをまとめ、定期的にカンファレンスを開いて治療内容を検討します。また、各自が最新の治療法を実現できるよう、学会や講習会などに積極的に参加し、常にレベルアップを試みています。

 

お問い合わせ先

TEL 06-6969-0111(代)
受付時間 平日  9:30~17:00
土曜日 9:30~12:00
担当 小児外来(1階中央処置室)

 

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