ステントグラフト治療のパイオニア

ナンバーワン・オンリーワンを目指し続ける「進化する森之宮病院 心臓血管外科」

当院は、大動脈疾患治療において、「大動脈瘤・大動脈解離に対するステントグラフト内挿術」を中心に患者さんの体に負担の少ない治療に取り組んでいます。

ステントグラフト内挿術の治療法とは、金属のバネが付いた人工血管(=ステントグラフト)をカテーテルに通して血管内に挿入し、動脈瘤がある箇所で拡張して血管を補強するというものです。従来の開腹手術に比べて、手術時間が2~3時間程度と短く、出血量も少なく患者さんの体への負担が少ないのが特徴です。また、術後も1週間程度で退院することができるのも注目を集める理由の一つです。


心臓血管外科顧問
加藤 雅明医師

 

ステントグラフトのパイオニアとして長きに渡り、取り組み続けて来た加藤雅明医師

ステントグラフトによる治療法を日本に初めて導入したのが、心臓血管外科部長の加藤雅明医師です。加藤医師は、1993年、大阪府立病院(現 大阪府立急性期総合医療センター)在籍中に日本で初めてステントグラフトによる治療を行いました。導入し始めた頃は加藤医師自らがステントグラフトの開発に携わりました。

その後、2006年には、2社のステントグラフトが薬事承認を得たことにより症例数も飛躍的に伸び、現在までに約1,500例以上におよぶ実績を重ねてきました。現在当院では日本で承認されているすべてのステントグラフトを用いることが可能で、さらに先進的なステントグラフトは、治験や臨床研究法に準拠したかたちで用いることができる、数少ない施設の1つです。


大阪府立病院在籍中に日本で初めて治療を行った頃の手作りのステントグラフト

加藤医師のステントグラフト治療が多くの方に注目されるきっかけとなったのが、医師の活躍と最先端の医療技術を紹介するTBSの人気番組『これが世界のスーパードクター』でした。2010年3月の同番組で「大動脈瘤を切らずに治すステントグラフト治療の第一人者」として紹介されました。

その他、加藤医師は世界で初めて解離性大動脈瘤のステントグラフト内挿術による治療を成功させたパイオニアの一人としても知られています。また、加藤医師が発明・開発した「弓部大動脈瘤・大動脈解離」に対する手術術式である『Frozen Elephant Trunk(フローズン エレファント トランク) 法』は、今では日本のみならず、世界中に拡がり普及しています。

加藤医師のこだわり(1) 徹底して患者さんの視点に立つ治療

「手術は最後の選択肢。手術以外の治療法を十分に検討したうえで、手術適応のある患者さんに手術治療を提案する。」

患者さんの身になって心臓血管治療を考える…だからこそ、患者さんに負担の少ない最先端の治療方法を研究し続けているのかもしれません。

「大動脈のみならず、重要な分枝を再建する方法の研究や、分枝に血流を通す窓が付いたステントグラフトの活用なども精力的に取り組んで来ました。現在では、それらの難しい症例は当院の治療においてはスタンダードになりつつありますが、日本でこのような治療をできる病院はまだ多くありません。これからもこのような難しい症例の治療に取り組んでいきたいと考えています。」

加藤医師の、『徹底して患者さん視点に立った治療』への飽くなき挑戦はまだまだ続きます。

加藤医師のこだわり(2) 最先端の治療を提供できる環境を整備

「より精度の高い治療を行うため、加藤医師は医療提供環境の整備にも尽力しています。」

人的環境、物的環境のいずれにも加藤医師のこだわりは随所に浸透しています。

一緒に働くスタッフチームの育成、さらに精度の高い血管内治療を行うため、手術室のリニューアルや豊富な資材の確保など、高性能な環境を整えています。高性能な装置設置型のX線透視撮影装置を導入し、手術台と手術灯もハイブリッド手術専用のものを設置し、ハイブリッド手術室となっています。「透視性能が格段にアップし、細い血管まで確認できるようになりました。私たちの治療は目で確かめて行う操作が主ですので、迷いなく位置を決められるようになりました。より高度な手術、細かい手術が一度にやれるようになっています」。

手術件数は、週2日の計4例から、週4日の計8例と倍増しました。長く治療を待っていただいていた紹介患者さんにもスムーズに対応できるようになり、病状によりますが、診療させて頂いてから1ヵ月以内には手術を受けることができるようになりました。
 

 

こうした豊富な手術数を支えているのが、医師や看護師、放射線技師、臨床工学技士など多くの医療スタッフの連携です。心臓血管外科および麻酔科医師の熱心な指導にこたえ、今では手術室や術後回復室、循環器病棟の手術や治療に関わるすべての医療スタッフが一つのチームとして動けるようになりました。

ハイブリッド手術室

手術では、透視画面を見て、ステントグラフトの留置位置を決めます。放射線技師との連携が欠かせません。

医師・看護師・臨床工学技士・放射線技師が協力して治療にあたっています。

加藤医師による国内外のステントグラフト治療への貢献

常に先進的な血管内治療を開発し、手がけている加藤医師は、他院の心臓血管外科から紹介された患者さんの治療にも、最善と思われる提案を行っています。そのため、近畿圏のみならず、日本各地から手術適応の難しい患者さんが紹介されます。同時に、国内外のステントグラフトによる治療技術の向上を目指して、ステントグラフト治療の技術指導にも積極的に取り組んでいます。日本で保険適用されている腹部大動脈瘤用と胸部大動脈瘤用ステントグラフトの『指導医』に認定され、さらには、『日本ステントグラフト実施基準管理委員会(通称JACSM)』※の事務局長も歴任し、国内外の病院にも赴き、指導・普及に努めています。また、全国の大学病院や地域の基幹病院から、加藤医師の技術を学びたいとやってくる医師を毎年受け入れています。

これからも加藤医師が伝えるステントグラフト治療の技術は、日本をはじめ世界のステントグラフト治療の技術向上につながっていくものと期待されています。

※10の構成学会からなる委員会。ステントグラフト実施基準の策定、審査、追跡調査などを主な取組みとする。

加藤医師が指導・講演を行った施設一覧

海外

米国  : ノースウェスタン大学、コロンビア大学

スペイン: バルセロナ大学

中国  : 首都医科大学附属北京安貞医院

韓国  : アサンメディカルセンター、サムスンソウル病院

日本

東京大学医学部附属病院、東京女子医科大学病院、順天堂大学医学部附属順天堂医院、三井記念病院、榊原記念病院、昭和大学病院、湘南鎌倉総合病院、横浜市立大学附属市民総合医療センター、亀田総合病院、国立病院機構金沢医療センター、名古屋大学医学部附属病院、名古屋徳洲会総合病院、岸和田徳洲会病院、イムス葛飾ハートセンター、埼玉医科大学国際医療センター、日本赤十字社医療センター(広尾)、新東京病院、心臓血管研究所附属病院、東海大学医学部附属病院、大阪大学医学部附属病院、近畿大学医学部附属病院、和歌山県立医科大学附属病院、小倉記念病院、九州大学病院、熊本赤十字病院、鹿児島大学病院、大分大学医学部附属病院、京都府立医科大学附属病院、武田病院、天理よろづ相談所病院、心臓病センター榊原病院(岡山)、広島市立安佐市民病院、広島大学病院、国立病院機構呉医療センター、国立病院機構長良医療センター、KKR札幌医療センター、岩手医科大学附属病院、東北大学病院、浜松医科大学、静岡赤十字病院、桜橋渡辺病院、住友病院、兵庫県立姫路循環器病センター、土谷総合病院、徳島赤十字病院、愛媛大学医学部附属病院、愛媛県立中央病院、久留米大学病院、大阪市立総合医療センター、大阪府立急性期・総合医療センター、大阪労災病院、神戸労災病院、大阪医科大学附属病院、兵庫医科大学病院、東宝塚さとう病院、川崎医科大学附属川崎病院、国立病院機構岩国医療センター、山口県立総合医療センター、山口大学医学部附属病院、近森病院、岐阜大学医学部附属病院、岐阜ハートセンター、鳥取大学医学部附属病院、豊橋ハートセンター

医師派遣元一覧

全国の大学病院や地域の基幹病院から、加藤医師の技術を学びたいとやってくる医師を毎年受け入れています。

東京大学

11人

名古屋大学

3人

愛媛県立病院

2人

大阪市立大学

1人

その他

12人

合計

29人

海外での学会発表

第28回欧州心臓・胸部外科学会(イタリア・ミラノでの発表)

加藤医師の執筆書籍(専門医向け教科書)

 

お問い合わせ先

TEL

06-6969-0111(代)

受付時間

平日  9:00~17:00
土曜日 9:00~12:00

担当

地域医療連携室・外来

 

  1. 森之宮病院
  2. 大動脈瘤・大動脈解離のカテーテル治療(心臓血管外科)
  3. ステントグラフト治療のパイオニア