整形外科(小児整形外科)
手術、リハビリテーション、装具療法、ボツリヌス療法など、運動機能の向上や生活の質の向上を目指しています。
整形外科(小児整形外科)は、脳性まひや二分脊椎などの麻痺性疾患、発育性股関節形成不全、骨形成不全症をはじめとする骨系統疾患、ダウン症などの染色体異常、特発性側弯症、先天性内反足、ペルテス病、骨折などの運動器の病気を治療する診療科です。運動器というのは、体を動かすために必要な骨、軟骨、筋肉、腱、関節、靭帯、神経などを指します。運動器の病気は子どもの間だけ治療すればいいというわけではありません。子どもも年とともに大きくなって成人になっていく間に、病気や障がいの様子が変わってきます。患者さんが一生涯健やかに生活できるように、ずっと寄り添いながら必要な治療をしていきます。当科では、手術、リハビリテーション、装具療法、ボツリヌス療法を行っています。また、成人になってからの事故や病気などで障がいを持たれた患者についても必要に応じて治療しています。
主な疾患
1、脳性まひ
脳性まひでは、まひが原因となって痙縮(筋肉の緊張が強い状態)や不随意運動(意に反して体が動いてしまう状態)が起こります。このまひのために立つ、歩く、走るなどの運動が妨げられます。さらに股関節脱臼や尖足などの手足の変形、脊柱側弯症、頚椎症性脊髄症が引き起こされます。痙縮に対しては、内服薬、ボツリヌス療法、ITB療法(髄腔内バクロフェン療法)、軟部組織解離術を行います。股関節脱臼に対しては、軟部組織解離術だけでなく、大腿骨や骨盤の変形に対する骨切り術も行います。たとえ立ったり歩いたりすることができない人でも、股関節が脱臼しているといつか痛みが出てくるので早期に治しておくことが必要です。もちろん運動発達にはリハビリテーションとの併用が欠かせません。
2、発育性股関節形成不全
以前は先天性股関節脱臼と呼ばれていました。早期発見早期治療が大切ですから、乳幼児健診でチェック項目にとりあげられています。健診でこの病気の疑いがあるといわれたら、当院小児整形外科を受診してください。当院では、問診、診察、エコー検査で適切に診断しています。発育性股関節形成不全と診断した場合には、安全な牽引治療(開排位持続牽引整復法)を行います。入院が必要ですが、じっくりと牽引しながら安全に整復します。治療後も、臼蓋形成不全が残る場合には、5〜7歳頃にソルター骨盤骨切り術などの追加治療が必要な場合もありますので、定期的な診察を成長が終わるまで継続します。
3、先天性内反足
生直後から足の裏が内側に向いている変形を先天性内反足と呼びます。そのまま放置すれば、足の裏全体を地面につけることができず、歩行が困難となります。乳児の足は柔らかいので、できるだけ早くからギプスを巻いて少しずつ矯正していく治療(ポンセッティ法)を行います。先天性内反足の治療はできるだけ早く始めることが望ましいですが、時間が経っていても矯正ギプス治療を行うことは可能です。また、他院で治療がうまくいかなかった患者さんや再発に対する手術も行っています。
4、ペルテス病
ペルテス病は、幼児期から学童期に大腿骨頭を栄養する血流が一時的に途絶えるために大腿骨頭が壊死してしまう病気です。壊死した大腿骨頭をできるだけ丸い形に再生することが治療のポイントです。そのために装具治療や手術治療とリハビリテーションを組み合わせて、治療します。長期入院を避けるために、当院では積極的に手術治療を行っています。
5、脊椎披裂症(二分脊椎、脊髄髄膜瘤)
先天的な脊髄の異常に伴って、下肢の麻痺や膀胱直腸障害が起こる病気です。脳神経外科、泌尿器科、小児科、小児整形外科が協力して治療にあたる必要があります。股関節脱臼、脚長差、足の変形などが問題となりますが、当院ではリハビリ、装具治療、手術治療を適切な時期におこなっていきます。
6、脊柱側弯症
側弯症は、脊椎が病的に曲がってくる病気です。原因には、先天性、特発性、麻痺性などがありますが、当院では様々な原因の側弯症に対して装具治療をおこなっています。現在、手術はおこなっていませんが、手術が必要な患者さんについては、適切な時期に側弯手術を多く行っている病院を紹介させて頂いています。
7、骨形成不全症
生まれつき骨が弱いため骨折を起こしやすい病気です。骨の変形が強い場合、矯正骨切りが必要になります。矯正骨切りを行うことで、立位や歩行が安定することが多いです。骨形成不全症の骨は弱いので、矯正骨切りも難しいです。手術は経験ある医師が行うことが望ましいので、お困りの方は当院にご相談ください。
8、骨折
子どもの骨折は、大人の骨折と違い、その後の成長を考慮して治療する必要があります。当院では小児整形外科の知識を活かして、骨折のギプス治療や手術を行っています。初期治療がうまくいかず変形治癒や成長障害が起こった場合には、成長を正しい方向に戻すための手術が必要となります。当院では、変形治癒や成長障害に対する手術も行っています。
外来医師担当表
診療時間 | 月 | 火 | 水 | 木 | 金 | 土 |
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診察 9:00~ |
吹上 |
藤田(第2) |
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具田 | 原田(第2・4) | |
藤田(第4) | ||||||
診察 13:30~ |
藤田(第4) | 藤田(第2) | 吹上 |
装具診察
2019年9月より装具診察は予約診療となりました。診察時に次回の予約をしていただくか、お電話でご予約をお願いします。
診療時間 | 月 | 火 | 水 | 木 | 金 | 土 |
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診察 13:30~ |
交代制 | 交代制 |
休診情報
松岡医師の診察は現在休診しております。診察再開の際は、ホームページ(当ページ)でご案内いたします。
※急な休診等もございますので、ご了承ください。
スタッフ構成
常勤医師 3名
日本整形外科学会認定指導医 1名
日本整形外科学会認定 整形外科専門医 2名
義肢装具等適合判定医 2名
非常勤医師 3名
スタッフ紹介
子供達に寄り添いながら、適切な小児整形外科手術を行います。
![]() ボバース記念病院副院長 吹上 謙一 (ふきあげ けんいち) |
私自身が乳児期に股関節脱臼の治療を受けた経験から、医師になり小児整形外科医の道を選びました。脳性麻痺に限らず、股関節疾患全般(股関節脱臼、ペルテス病、大腿骨頭すべり症など)、足部疾患(先天性内反足、外反扁平足、二分脊椎、先天奇形など)、側弯症など様々な疾患の治療を行います。染色体異常や様々な症候群の患者さんについても、お子様の成長に合わせた治療を行います。 プロフィール1998年京都大学医学部卒業。
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お子さんとそのご家族にとって、最善の治療を一緒に考えていきます。
松岡 由希子 (まつおか ゆきこ) |
こどもの整形外科疾患は「成長する」ために、現在の症状に対し診断・治療するだけではなく、将来も見据えて考えていく必要があります。大人になっても困らないよう、お子さんひとりひとりの成長に寄り添った医療を目指します。 プロフィール2011年大阪医科大学医学部医学科を卒業。
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![]() 嶋津 歩 (しまづ あゆみ) |
お子さんそれぞれの疾患だけに目を向けるのではなく、現在の生活、将来を包括的に考えて、お子さん、ご家族の思いに寄り添い笑顔が溢れるような医療を目指します。 プロフィール2020年神戸大学医学部卒業。 大阪医療センター、大阪大学医学部附属病院で初期研修、2022年4月から吹田市民病院を経て、2023年4月よりボバース記念病院整形外科に勤務。 |
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臨床研究に関する情報公開
「疫学研究に関する倫理指針」第3.1(2).「人を対象とする医学系研究に関する倫理指針」第5章,第12に基づき、インフォームド・コンセントを受けない場合の研究についての情報をこちらに公開しております。