病院機能評価

 

森之宮病院は2023年に実施された病院機能評価で認定を更新しました

主たる機能種別「リハビリテーション病院」

副機能種別「一般病院2」

認定日:2023年5月12日(認定期間:2023年3月17日~2028年3月16) 初回認定日:2008年3月17日

 


高度・専門機能

認定日:2023年12月8日(認定期間:2023年10月4日~2028年10月3) 初回認定日:2013年10月4日

 

病院機能評価とは

病院機能評価は公益財団法人日本医療機能評価機構による国民が安全で安心な医療を受けられるよう病院の医療機能を中立的な立場で評価し、課題改善を支援する審査です。
4つの評価対象領域から構成される評価項目を用いて、各専門領域(診療、看護、事務)の知識と経験を有する評価調査者(サーベイヤー)が病院を訪問し、病院組織全体の運営管理・提供される医療について評価し、一定の基準を満たした病院は「認定病院」となり、証明書が発行されます。

本体審査はS(秀でている)、A(適切に行われている)、B(一定の水準に達している)、C(一定の水準に達しているとはいえない)の4段階、
高度・専門機能はⅠ(秀でている)、Ⅱ(適切に行われている)、Ⅲ(一定の基準に達している)、Ⅳ(一定の基準に達しているとは言えない)の4段階で評価されます。

主な審査項目

 

森之宮病院の病院機能評価認定歴

 

病院機能評価認定歴

種別・審査体制区分等 バージョン 認定日
一般病院(200床以上500床未満)          バージョン5.0          2008年03月17日
リハビリテーション病院(200床以上)(主たる機能)、一般病院2(副機能)          3rdG:Ver.1.0 2013年10月4日
リハビリテーション病院(200床以上)(主たる機能)、一般病院2(副機能)          3rdG:Ver.1.1 2017年12月01日

NEW! リハビリテーション病院(200床以上)(主たる機能)、一般病院2(副機能) 

3rdG:Ver.2.0 2023年05月12日

 

高度・専門機能認定歴

種別 バージョン 認定日
NEW! 高度・専門機能(リハビリ)          バージョン1.0 2023年12月08日

※「付加機能審査」は、2019年より「高度・専門機能審査」と改称され、評価内容もアップグレードされました。

 

付加機能評価認定歴

種別 バージョン 認定日
付加機能審査(リハビリ)          バージョン3.0 2013年10月04日
付加機能審査(リハビリ)          バージョン3.0 2017年12月01日

 

 

 

本体審査の17項目でS評価を取得

2023年1月25日に実施されたリハビリテーション病院(200床以上)(主たる機能)、一般病院2(副機能) 審査において、91項目のうち17項目でS評価(秀でている)を取得しました。

 

1.1.1 患者の権利を明確にし、権利の擁護に努めている

【審査結果報告】「生活機能の向上に導く、質の高いリハビリテーション・ケア」を提供することを理念に掲げ、病院の基本方針、患者の権利、個人情報保護、権利の擁護を明文化され、院内外への周知を図っている。ホームページに臨床治験に対するオプトアウトの明示とDPCデータの開示を追加し、より患者の利用選択に対する情報提供に努めている。認知症や独居などにより受療中断となる事例については、院内外の関係機関との協働、地域ケア会議による検討などを踏まえ、医療を受ける権利を擁護するための地域活動にも取り組んでいる。さらに、認知症や精神疾患等の患者対応が増えていることを踏まえ、職員がこれらの患者の権利擁護に取り組めるよう虐待防止対策も含め全体研修会を開催している。診療記録開示の仕組みも整備され、診療録開示担当者は個人情報管理・担当責任者養成研修を受講し、個人情報保護と診療録開示に必要な知識の習得に努めており、開示実績もある。患者の権利擁護の取り組みは総じて高く評価できる。

 

1.1.4 患者支援体制を整備し、患者との対話を促進している

【審査結果報告】患者支援は、医療相談室と地域医療連携室が協力し、患者の前方および後方支援を分担している。医療相談室には病棟専従担当者を含め社会福祉士、精神保健福祉士、認定医療ソーシャルワーカーなどの資格を有するスタッフを配置し、患者の入退院と入院生活上の相談支援のための院内調整を図っている。地域の行政機関や包括支援センター、居宅介護支援事業所等と社会資源の活用や介護保険利用等に係わる連携調整に努めている。医療相談は、近隣地域のまちづくり活動の一環として地域住民からの相談支援にも努めており、独居や老々世帯、身寄りのない患者の相談や成年後見制度の利用のための援助、患者の生活面での活動代行支援など、幅広い相談と支援に対応している。これら地域住民と行政の橋渡し役としての様々な取り組みや活動は秀でており、高く評価できる。
 

1.2.2 地域の医療機能・医療ニーズを把握し、他の医療関連施設等と適切に連携している

【審査結果報告】地域医療連携室を設け、入退院調整看護師を含むスタッフを配置して、地域の診療所、病院、医師会、居宅介護支援事業所のケアマネジャー、福祉施設等との相互の情報交換に努めている。また、病院が所在する医療圏域の医療ニーズの把握に向けて、脳卒中連携ネットワークの運営や地域連携実務者協議会などに参加している。地域医療連携を確実、迅速に行うためにCAREBOOKを活用しており、2021年度は脳卒中地域連携パスにより回復期リハビリテーション病棟に280件の患者を受け入れている。コロナ禍により従来活発に行っていた連携先医療機関への訪問活用は制約を受けているが、オンラインを活用した面談なども実施している。病院では地域の開業医と良好な関係を構築しており、大阪市内各区の開業医との登録医制度を運用して、患者の入院や必要な検査紹介予約にも円滑に対応している。さらに、登録医とは年1回登録医総会を開いており、在宅療養後方病院としての役割・機能が十分に発揮されているなど、これらの取り組みは総じて高く評価される。

 

1.2.3 地域に向けて医療に関する教育・啓発活動を行っている

【審査結果報告】地域に向けた医療に関する教育・啓発活動として、現在はコロナ禍で中断しているものの、継続的に地域住民を対象とした健康教室を開催しており、健康通信も配布している。2021年からは、医療のICT化などを見据えて地域住民のICT活用への理解と促進を目的にスマホ教室を開催しており、医療従事者に向けたセラピストやリハビリテーション看護の講習会を定期開催している。さらに、特筆すべき事例として、2015年からヘルスケアとエイジングをコンセプトとした超高齢社会の活気あるまちづくりを目指し、病院が所在する大阪市城東区とUR都市機構等とともにスマートエイジング・シティの理念を踏まえたまちづくり協定を締結している。その取り組みとして、近隣団地内に福祉用具体験モデルルームを設け、地域住民や行政、社会福祉協議会などと協働した住民の孤立化防止と要介護者、災害弱者への支援事業に取り組んでいる。また、地域の有志から病院運営への意見や要望を定期的に聴取する場として「モニター会」を設けている。これら多彩な地域活動を展開していることは高く評価できる。

 

1.4.1 医療関連感染制御に向けた体制が確立している

【審査結果報告】感染防止委員会は多職種から構成され、感染防止対策マニュアルの作成と定期的な改訂・見直しに努めている。また、ICD1名およびICN1名がそれぞれ配置されており、ICDは院内各部署の職員に対し積極的に感染対策の助言を行い、ICTが定期的なラウンドなどの活動を行っている。研修会には全職員が参加している。ICTはAST(抗菌薬適正使用支援チーム)とも週1回カンファレンス、ラウンド活動を行い、抗菌薬や耐性菌検出患者の環境ラウンド、感染対策の指導を実施している。さらに、病棟ではリンクセラピスト・リンクナースとICTとの連携体制も構築しており、病院組織全体での感染防止対策が機能しており、高く評価できる。
 

1.4.2 医療関連感染制御に向けた情報収集と検討を行っている

【審査結果報告】院内感染情報は感染防止委員会が取りまとめ、月1回収集・報告し、院外情報も定期的に報告されている。院内分離菌把握と菌種別の薬剤感受性検査は、病棟別で把握され、継続的な感染症に対する分析と検討が加えられている。ICT/AST活動において感染発生や届出抗菌薬状況が把握され、個別に指導が行われている。サーベイランス(SSI、CRBSI、UTI)や耐性菌出現率などの薬剤耐性関連データや手指消毒剤使用量などはJANISに加え新たにJ-SIPHEに参加しており、委員会、院内研修、医局会などの場やICTニュースで情報が還元されており、それらの取り組みは、リハビリテーション病院としての先進的事例として高く評価できる。

 

1.5.2 診療の質の向上に向けた活動に取り組んでいる

【審査結果報告】自院の回復期リハビリテーション病棟の詳細なアウトカムクリニカルインディケーターを設定している。病棟担当の医師カンファレンスにて、過去1週間の入退院例の転帰が入院時の予測と相違ないか検証し、相違があった場合の原因分析や検討結果のデータベース化を行い、診療の質向上を目指す取り組みを実践しており高く評価できる。また、神経学会編の脊髄小脳変性症・多系統萎縮症治療ガイドライン策定を担当し、療法士や患者に向けて動画配信を行う他、療法士に向けたシンポジウムを開催して普及に努めている。さらに、脊髄小脳変性症のリハビリテーションの標準化プログラムの作成に取り組み、全国の主な病院で実施されている他、米国脳卒中リハビリテーションガイドラインに自院の論文が多数引用されるなど、これらの取り組みはリハビリテーション病院の先駆的事例として高く評価できる。

 

1.5.4 倫理・安全面などに配慮しながら、新たな診療・治療方法や技術を導入している

【審査結果報告】外部委員を含む治験審査委員会を毎月開催し、客観的データに基づく安全な治験を実施している。日本学術振興会および厚生労働省、文部科学省等より競争的公的研究資金を得て、リハビリテーションロボットや各種リハビリテーション治療機器の開発に努め、観察や介入研究を行っている。また、学術機関との共同臨床研究も積極的に行っており、リハビリテーション医療の提供のみならず最先端の臨床研究に取り組まれている。新たな治療方法についても、拡散型体外衝撃波による痙縮治療などの新規機器のモニタリング導入などを積極的に行っている。いずれも倫理面・安全面に配慮しながら、組織として積極的に新たな診療・治療方法や技術の導入に取り組まれており、高く評価できる。

 

2.2.5 診断・評価を適切に行い、診療計画を作成している

【審査結果報告】回復期リハビリテーション病棟では医師全員がリハビリテーション科および神経内科専門医である。専門医が中心となり入院時合同評価が行われ、診療計画は、入院当日に患者や家族の希望も加えた上で、多職種スタッフによる入院診療計画書が作成されている。計画書の説明は医師が行い、説明時のカルテ記載もされており、クリニカルパスも活用している。患者・家族の希望や意向の把握に向けて新たに医師伝達シートを作成・活用しており、面談スキル向上や課題整理、目標設定に資する新たな取り組みも行われており、高く評価できる。患者の診療計画立案と方針は多職種による入院時合同評価とカンファレンスにおいて決定している。入院後3日目に初回のカンファレンスを行い、リハビリテーション総合実施計画書を作成して医師が患者・家族に説明している。その後、毎月カンファレンスを開催し、計画の見直しに努め、見直し時にも医師から患者・家族への説明を行い、看護記録に説明に関する記述を残している。コロナ禍前は入院後早期に自宅訪問を積極的に実施し、退院後の生活を見据えたリハビリテーション実施計画の作成に役立てていたが、現在はコロナ禍の状況を勘案しながら対応している。

 

2.2.6 リハビリテーションプログラムを適切に作成している

【審査結果報告】リハビリテーションに関する評価は多職種で行っている。入院当日に多職種による合同評価を実施し、3日目の合同カンファレンスで短期、長期目標の設定を行い、リハビリテーション計画を立案している。その後、チームカンファレンスでその内容や目標の見直し、更新に努め、各職種の評価はICFシートを活用した患者の活動や参加レベルなどについて情報共有を行っている。リハビリテーション総合実施計画書は、毎月作成している。医師によるリハビリテーション処方箋を作成しており、リスクに関する記載も行われている。定期的な多職種を交えたカンファレンスの実施、リハビリテーション計画の見直し、早期・退院前自宅訪問、退院後の社会生活などにも配慮されており、適切である。また、療法ごとにスーパービジョンやケーススタディによる具体的なアプローチの妥当性の検討がなされ、技術的な指導が実践されていることは、高く評価できる。

 

2.2.9 医師は病棟業務を適切に行っている

【審査結果報告】回復期リハビリテーション病棟には、リハビリテーション科・神経内科・脳卒中・総合内科の専門医を常勤配置しており、質の高い神経リハビリテーションの提供と高度の医学的管理が行われ、その取り組みは高く評価できる。チーム医療の中心役としての医師は、カンファレンスに参加し、医師マニュアルや多職種との情報交換を記載した医師伝達シートなどを活用している。また、日々の診察やスタッフの情報などから、それぞれの患者の個別性と必要に応じた医学的管理を行っている。医師は毎日回診を行い、患者・家族には治療方針・治療内容・病態変化・治療経過について必要時に面談を行い、その際の記載も残している。病棟横断的な課題解決チーム(摂食・嚥下、気切、感染、褥瘡、医療安全)では、医師がリーダーシップを発揮して積極的に活動しており、医師間の相談体制も良好であり、義肢装具の処方・適合判定にも関与している。

 

2.2.17 理学療法を確実・安全に実施している

【審査結果報告】入院当日に初期評価、リスク評価がなされ、環境設定も含めチーム間で共有している。初回カンファレンスにて詳細なクリニカルインディケーターなどを基に多職種と協議の上予後予測を行い、ICFに基づいたチーム目標を立案し、チーム目標に基づいた理学療法計画と目標を設定して系統的なリハビリテーションを実施しており、中止基準も明確である。また、実施計画は2週間ごとに標準的評価を行い、計画を見直しており、評価実施内容の記録は履歴を含め電子カルテで多職種と共有している。理学療法は、365日リハビリテーション訓練を行い、モーニングセラピーも実施している。患者の日常生活動作に応じた個別的プログラムを重視しており、作業療法士と協働して移動動作だけでなくセルフケア動作についても介入し、患者の日常生活動作支援に努めている。リハビリテーションの進捗に問題があれば、経験ある指導者が理学療法施行時に共に治療を行うスーパービジョンや症例検討会を行っており、理学療法士の新人教育においても、理学療法主任が定期的なスーパービジョンを行うシステムとなっており、評価や治療計画の見直し指導および支援教育を継続的に実践しており、高く評価できる。リハビリテーション室での患者急変時の対応訓練も全スタッフが受講しており、リハビリテーション中の転倒をテーマとしたトレーニングをリハビリテーション部全体で行い、転倒事故の件数も減少している。感染防止対策や訓練機器管理も含め、総じて高く評価できる。

 

2.2.18 作業療法を確実・安全に実施している

【審査結果報告】入院当日に初期評価、リスク評価と環境設定を行い、日常生活動作・上肢機能・高次脳機能障害の標準化した評価を行い、治療プログラムを立案している。初回カンファレンスでは、詳細なクリニカルインディケーターなどを基に多職種と協議して予後予測を行い、ICFに基づいたチーム目標を立案し、チーム目標と計画に沿った系統的なリハビリテーションを提供している。また、高次脳機能評価でのリスクも把握し、安全な訓練に努めている。リハビリテーションプログラムは、患者の個別性に配慮して作成され、スーパービジョンやケーススタディを通じ管理職がアドバイスを行い、適正化を図っている。実施計画は2週間ごとに標準的評価などを行い、計画の見直しにも努めている。評価と実施内容の記録は、多職種との共有が可能となるよう工夫している。作業療法は365日リハビリテーション訓練を行い、患者の日常生活動作の獲得に向けた車椅子等福祉用具の活用、病室での環境設定やセルフケア方法の検討を行っている。加えて、イブニングセラピーやモーニングセラピーを行い、看護師や介護福祉士などと協働して患者の日常生活動作支援を実践している。さらに、社会復帰に向けて、患者の自宅訪問や家屋調査にも社会福祉士と協力して取り組み、患者の急変時対応訓練や感染防止対策などを含め、作業療法は確実・安全に実施されており、総じて高く評価できる。

 

2.2.19 言語聴覚療法を確実・安全に実施している

【審査結果報告】言語聴覚療法は、入院当日に初期評価、リスク評価がなされ、患者のコミュニケーション能力、高次脳機能、摂食・嚥下障害について標準化された検査を用いた定期的な評価を行い、チームで情報共有と検討を行っている。初回カンファレンスにて詳細なクリニカルインディケーターなどを基に多職種と協議の上予後予測を行い、ICFに基づいた個別性を重視した目標・計画・治療プログラムを立案し治療訓練を実施している。また、摂食・嚥下障害に対する評価や嚥下造影検査は医師との協働で行い、高次脳機能障害患者へのアプローチや失語症患者への訓練を実施している。とりわけ、摂食・嚥下障害患者に関しては、評価に基づく誤嚥・窒息リスク対応のみならず、経管栄養、服薬など患者の全身状態に応じた医療的リスク管理が行えるよう折々に研修を実施し、療法士の意識向上を図っている。言語療法科のスタッフ教育として、再教育やケーススタディを定期的に実施している他、スーパービジョンや症例検討会も行っている。急変時対応訓練、感染防止対策も確実に行っており、言語聴覚療法は総じて高く評価できる。

 

2.2.20 生活機能の向上を目指したケアをチームで実践している

【審査結果報告】病棟は多職種で構成された食事支援チーム、更衣支援チーム、入浴支援チーム、移乗改善チーム、転倒・転落対策チームなどが機能向上に向けた支援チームとしてワーキンググループ形式で積極的に活動している。定期的に病棟間ラウンドを実施し、他病棟での有意義な取り組み事例を自病棟に取り入れる活動も行っている。各病棟活動を年2回の「成果発表会」で行うプレゼンテーション・グループディスカッションは、職員のモチベーションとさらなるチーム実践力の向上につながっている。患者の生活機能自立度をあげる取り組みとして「自立度変更ステップアップシート」を活用し、3日間トライアルを実施し、その評価を検討のうえ主治医に「変更届」を提出する仕組みがある。また、入浴支援では療法士が入浴介助を実施し、介護福祉士に指導する仕組みもある。転倒・転落対策チームが作成した注意喚起シートも活用されている。訓練時間以外を有効活用するため、自主訓練動画を作成・配信し、患者は病室のテレビで視聴することが可能である。朝・夕のケア集中時間には療法士が介入しており、生活機能向上を目指したチームケアは秀でた取り組みをされており高く評価したい。

 

3.1.3 画像診断機能を適切に発揮している

【審査結果報告】画像診断機能として、X線一般撮影装置、X線テレビ装置、CT、MRI、骨密度による検査が行われ、夜間・休日は当直体制を設け、患者誤認防止も適切である。造影CT・MRI検査は手順に沿って適切に行われており、画像読影は放射線科専門医2名が対応している。診断結果報告書の確認については、既読管理の運用を開始しており、画像診断情報の適切な管理が実践されている。検査機器の地域共同利用においても、開業医からの検査を積極的に受け入れており、円滑な予約管理を行うとともに、診断結果報告を放射線技師が直接地域の開業医へ届けて説明を行うなど、自院の画像診断だけでなく地域の開業医の画像診断にも幅広く対応されていることは高く評価できる。

 

3.1.5 リハビリテーション機能を適切に発揮している

【審査結果報告】リビリテーション機能は、多職種による合同評価を基に目標設定やプログラム作成が行われ、速やかな訓練を開始している。リハビリテーションは365日、平均7単位/日以上、モーニング・イブニングセラピーを実施している。定期的な多職種評価、各種カンファレンス、多職種チームによる患者への対応が実践され、マネジメントシートの活用による系統的な訓練実施などリハビリテーションの標準化にも努めている。院内での通所リハビリテーション、訪問リハビリテーション事業を新たに開始され、入院時だけでなく生活期のリハビリテーションの充実も図られていることは、入院から在宅までの切れ目の無い継続的なリハビリテーションの提供の観点から高く評価できる。また、積極的な退院支援への具体的な取り組みとして在宅への訪問活動を随時行っており、在宅復帰率は90%以上を達成しており、リハビリテーション機能の発揮は高く評価できる。
 

上記以外の項目については、すべてA評価(適切に行われている)を取得しております。

総評や他の項目の評価はこちら

 

 

 

高度・専門機能【リハビリテーション(回復期)】の20項目でⅠ評価を取得

2023年9月28日に実施された高度・専門機能評価において、42項目のうち20項目でⅠ評価(秀でている)を取得しました。2017年受審時ではⅠ評価が6項目のところ、今回の受審で20項目を取得。2019~2022年で受診した31病院のⅠ評価取得平均は4.2%のところ、森之宮病院では47.6%のⅠ評価を取得しました。

 

1.1.2 良質な回復期リハビリテーション機能を発揮するために必要な人員を配置している

【審査結果報告】施設基準を超える充実した人員が配置され、365日円滑かつ良質なリハビリテーションを展開している。全ての回復期リハビリテーション病棟にリハビリテーション科専門医、総合内科専門医、脳神経内科専門医、脳卒中専門医が配置されている。看護師は看護協会や回復期リハビリテーション病棟協会の認定看護師が多数在籍し、各病棟や院内において横断的に活動している。看護補助者の多くが介護福祉士であり、計画の立案、記録、ケアの実践、レクリエーション等の患者の活動性を高める取り組みの中心的な役割を担っている。療法士は多くの認定療法士や認定士、セラピストマネジャーが在籍し、朝夕の時間帯にADLの動作練習を行い、毎日1日7単位以上のリハビリテーションを提供している。訓練時間は、専門事務スタッフ(POST)が担当し、検査、処置、疲労度、注入食、朝夕介入などの個別条件を配慮しながらスケジュールが組まれている。社会福祉士は専従配置されており、全ての社会福祉士が5年以上の支援実績を有している。各病棟の担当の管理栄養士はチームカンファレンスに参加し、薬剤師は服薬指導や病棟からの相談に対応している。歯科医や歯科衛生士は病棟看護師と連携し、口腔環境の改善やNST活動を中心に関与するなど、切れ目のないリハビリテーションができるよう充実した人員体制であり、高く評価できる。

 

1.2.1 患者の安全確保に向けた体制を整備している

【審査結果報告】院内全体の医療安全については医療安全協議会が統括し、その下に医療安全管理委員会等が横断的に活動している。回復期リハビリテーション病棟に特化した回復期リハビリ病棟医療安全会議を立ち上げ、「SAFE(安全) and SOUND(健全)」をスローガンとして医師、看護師および療法士の管理職、各病棟のリンクナースとリンクセラピストが相互連絡や環境ラウンドを行い、横断的に活動している。電子カルテを使用してインシデント・アクシデントが速やかに報告されるシステムとなっており、分析から対策の実施状況、評価について相互確認がされている。また、影響度レベル3b以上のアクシデントは、委員会にてRCAにて分析を行い、職員にフィードバックしている。特に、発生頻度の高い転倒・転落については、転倒対策事例を共有するための「転倒対策ギャラリー」フォルダを作成し、多職種で視覚的に過去の対策について共有・適用する仕組みを開始している。また、誤嚥・窒息等に関するマニュアルも定期的に見直しがされている。医療安全に関する研修は、計画的に実施されている。病院全体として医療安全の文化が浸透し、発生予防、再発防止などが徹底されており、高く評価できる。

 

1.2.3 安全で安心できる療養環境の整備に努めている

【審査結果報告】各病棟に配置されたリンクナースとリンクセラピストがICTと協働し、感染制御に対する遵守状況の確認や指導等を行っている。病棟の廊下の天井にはビデオカメラが設置され、両端のガラス戸は常時閉じられ、患者の離院・離棟防止が図られている。離院の可能性のある患者は、GPS端末の装着と防災センターに登録し、リストバンドに印をつけるなど、工夫を行っている。患者や介助者が安全に移動できる幅の広い廊下や、自主歩行練習にも対応した5m間隔の床を整備している。また、病室のベッド周囲を患者ごとの環境に設定し、トイレ、洗面所、浴室、食堂は患者の安全性を考慮した設計としている。例えば、病棟トイレドアはリニアモーター式を使用し、開閉力が少なく使用可能であり、安全性を高めている。浴室の手摺りは、入院患者の特徴や状況を踏まえて見直しを行い、トイレ内には患者の転倒時を考慮し、床から近い位置にもコールを設置するなど多種多様なコールが整備されている。車椅子や歩行器等は看護師が日常点検を行い、定期的には療法士が点検を行っている。安全性などに配慮し、患者が安心して過ごせる療養環境を整備しており、高く評価したい。

 

1.3.1 回復期リハビリテーションの質改善に必要なデータを収集し活用している

【審査結果報告】電子カルテシステムを運用しており、テンプレートを活用し、各スタッフの日常診療記録がそのままデータベース化されている。情報システム科を中心に月報・年報が作成され、活用されている。医師は毎週入退院症例の振り返りを行い、ADLの改善状況、在院日数、退院先などの転帰と入院時の予想との相違を検討し、ICFの各カテゴリーの因子からバリアンス分析を行い、予測精度の質向上に努めている。退院後の患者のADLや生活状況、リハビリテーションの実施状況などは、退院後の外来受診記録や訪問・通所サマリーを病棟にフィードバックしている。自宅退院1か月、6か月後にアンケートを実施し、LSA等を用いて活動状況を把握している。効率性を踏まえ、現在はWEBによるアンケートも試みている。退院後の情報は、社会福祉士の勉強会資料等にも活用しており、様々なデータを活用して回復期リハビリテーションの質改善に取り組む仕組みは高く評価したい。

1.3.2 回復期リハビリテーションに関する自院の課題の把握と対応策を検討している

【審査結果報告】各種クリニカルインディケーター(CI)から、紹介数や稼働状況、リハビリテーションの査定状況に至るまで、各種データが毎月の会議で共有され、対策を検討している。感染症の情報は、毎日のベッドコントロール会議で報告され、対策が協議されている。主要会議の決定事項や運営目標達成度は、毎週月曜日の朝ミーティングで周知し、共有されている。また、他病院との交換訪問を機に「ワンチームプロジェクト」を立ち上げ、重症患者の増加に対する対応として、ストレッチャー浴から座位式浴槽へ患者を移行するため、手摺りの位置を検討した実績がある。また、車椅子やセンサーの一括管理、電子カルテのテンプレートの新規開発など、臨床現場からの提案に基づき、多職種で改善に取り組み、コンペ形式の発表会において成果を共有している。回復期リハビリテーション病棟において課題解決に向けた多数の取り組みを行い、成果につながっており、高く評価したい。

1.3.3 回復期リハビリテーションに関する教育・研修を行っている

【審査結果報告】全体研修は教育図書委員会が中心となり、年間計画に従い、医療安全、医療関連感染制御等の研修が実施されている。また、NSTやBLSなどの院内の専門チームによる研修の他、年間を通して各職種が多くの研修を行っている。職種ごとのクリニカルラダーや階層別教育を行い、スタッフ目標管理シートを使用して自己評価を行っている。また、療法士は中堅講師の講義内容を管理職が評価し、教育の質向上を目指しており、秀でた取り組みである。社会福祉士は、個人情報等に深く関わるため、入職者それぞれに対し、個別計画を立てて教育を行っている。FIM認定講習会や地域の医療連携に関わる研修会、回復期リハビリテーション病棟協会主催の各種研修会に参加している。特に、医師のリハビリテーション・マインド教育を目的に、チームで事例検討を行う研修会に多職種が参加するなど、外部研修に活発に参加している。新管理職には課題解決ワークショップを実施し、多職種の院内トレーナーが課題発見、分析、立案のスキルを教育している。学会発表、論文、著書など多数の学術実績を年度ごとにホームページに公表している。回復期リハビリテーションに関する教育・研修に積極的に取り組んでおり、高く評価できる。

 

1.4.2 自宅復帰後のリハビリテーション・ケアの継続に向けて地域サービス提供機関等と円滑に連携している

【審査結果報告】自宅復帰後に必要とされるリハビリテーション・ケアの継続や、生活機能の維持向上を図るために、地域の医療機関および居宅支援事業所と連携を図っている。自宅退院患者に対しては、患者・家族の希望やスタッフの評価に基づき、社会的な資源の紹介や提案を行い、ケアマネジャーやサービス事業担当者とカンファレンスを行っている。また、文書による情報提供も適切に行われている。退院後の生活状況は、装具診察などの外来診察、社会医福祉士によるヒアリング、療法士によるアンケート調査、必要時には退院後自宅訪問を行い、確認している。法人内の外来リハビリテーションや訪問リハビリテーション、通所リハビリテーションを利用している場合は、担当療法士が病院の担当者にフィードバックを行っている。大阪脳卒中医療連携ネットワーク(OSN)の中核施設として、コロナ禍においても行政や他の協議会等と連携活動を継続し、ネットワーク活動の課題解決や市民啓発事業を企画し、実施している。これらの脳卒中サロンなど地域の脳卒中医療とリハビリテーション・ケア、連携の質向上を目指すためのネットワーク作りに積極的に取り組んでいることは高く評価できる。

 

2.1.1 医師は専門的な役割・機能を発揮している

【審査結果報告】各病棟に総合内科・神経内科・リハビリテーション科専門医・脳卒中専門医を配置し、原疾患に対する医学的な検査と診断を含め、充実した診療体制を整備している。合併症・併存疾患に対しては、入院時にクリニカル・パスに基づいた系統的な精査が行われている。担当医を含む多職種で入院初日に合同評価を行い、ICFに基づき、生活機能や背景因子を整理し、リハビリテーション計画に反映している。入院3日以内に多職種による初回カンファレンスを行い、医師が中心となり、ADLの回復予測に基づいて専門的治療や合併症の管理、生活機能と環境因子を踏まえ、入院期間や方向性を協議している。特に、カンファレンスにおける回復予測は、画像所見や神経学的所見、ADL状態にとどまらず、ICFカテゴリーごとに促進・阻害の因子を鑑み、精度の高い回復予測を目指していることは高く評価したい。退院時に最終帰結を評価し、予後予測と実際の乖離について、ICFに基づいた因子検討を行っている。

 

2.1.4 医師は質向上に向けた活動に取り組んでいる

【審査結果報告】各病棟にリハビリテーション専門医が配置され、専攻医の指導や専門医の取得を支援する体制がある。また、学会や研修会への参加を支援する体制が構築されている。専門医だけでなく、博士号の取得や大学教授を輩出している。最新の医療技術の導入や企業との共同研究、研究費の獲得、多数の質の高い研究や論文の執筆など、多くの実績があり、回復期リハビリテーションの質向上に向けた取り組みは高く評価したい。

 

2.2.4 看護・介護職は質向上に向けた活動に取り組んでいる

【審査結果報告】看護師は、クリニカルラダーに基づき年間の研修計画を立案し、実施と評価を繰り返しながら看護の質の向上に取り組んでいる。介護福祉士も独自の年間の教育計画を立案し、勉強会や研修を行っている。また、脳卒中リハビリテーション看護認定看護師3名、慢性疾患看護専門看護師1名、回復期リハビリテーション看護師3名などの認定・専門看護師が院内で指導者として活動している。また、介護プロフェッショナルキャリア段位制度アセッサー2名が介護福祉士の技術向上を目指して活動している。看護部では年1回の院内看護研究発表会を開催し、今年度は院外発表として看護師が2演題、介護福祉士は1演題を予定している。業務改善活動として、患者のADLや業務の効率化などについて積極的にワーキンググループの活動を行い、成果に繋がっており、高く評価したい。

 

2.3.1.P 理学療法士は役割・専門性を発揮している

【審査結果報告】患者の下肢運動機能・基本動作・移動能力を中心に、入院初日から、疾患別に整備された評価バッテリーを使用して評価している。定期的評価を2週間に1度実施することを徹底し、理学療法の内容について見直しが行われており、連絡票に反映し、休日代行スタッフとも情報共有が行われている。多職種と協働し、ポジショニングや安全面に配慮して活動性を高める環境設定を行っている。カンファレンスにおいて、装具の適応について確認し、歩行分析装置を用いた評価も行っている。また、BWSTTや圧力波の使用にも取り組んでいる。屋外歩行練習で敷地から出る場合は、ルートが決められており、不測の事態が発生した場合は、院内スタッフに地図座標で位置を知らせるよう安全面の対策が取られている。自転車練習の対象者は月に1~2例であり、実施する場合はプロテクターを装着し、複数の療法士が伴走するなど、安全面に配慮して取り組んでいる。患者のニーズに応えるよう理学療法が実施されており、高く評価したい。

 

2.3.1.O 作業療法士は役割・専門性を発揮している

【審査結果報告】入院初日から日常生活動作を評価し、転倒対策やその他のリスク管理に配慮し、活動性を高める環境調整を行っている。上肢機能はFMAだけでなくARATやMALを使用し、標準化されており、上肢機能とADLの関連性を確認して作業療法の焦点を明確にしている。電気刺激装置やミラーセラピーなど上肢機能を中心に取り組みながら、生活機能にも焦点を当てて包括的なアプローチを行っている。必要なADL室や福祉用具などを整備している。定期的評価を2週間に1度実施することが徹底されており、作業療法の内容ついて見直しが行われている。連絡票に反映し、休日代行スタッフとも情報共有が行われている。生活機能を考慮した上肢身体機能へのアプローチ、高次脳機能障害への対応、自助具や福祉用具の導入など、包括的な作業療法が実施されており、高く評価したい。

 

2.3.1.S 言語療法士は役割・専門性を発揮している

【審査結果報告】入院初日の食事から言語聴覚士が介入し、摂食・嚥下評価を行い、水分・食形態の調整、食事支援方法の指導などを行っている。言語聴覚士は、主にコミュニケーション能力、高次脳機能、摂食嚥下障害の評価を実施している。評価内容は標準失語症検査、標準ディスアースリア検査、ウェクスラー成人知能検査、改定水飲み検査など、院内で標準化されている。評価結果とICF概念に基づき、目標と計画を立案している。状況に応じて作業療法士と協働し、代替コミュニケーションツールを導入している。作業療法士、臨床心理士と役割分担を明確にし、一覧表を用いて高次脳機能障害や心理に関する検査やアプローチを行っている。また、NSTやESTなど職種横断的なチームの中心的な役割を担っており、言語機能以外でも専門性を発揮しているなど、言語聴覚療法の取り組みは高く評価したい。

 

2.3.4 療法士は質向上に向けた活動に取り組んでいる

【審査結果報告】新入職員に対し、知識・技術、他職種との連携やコミュニケーションなどの教育を約1か月間行っている。その後、教育ラダーに基づき、年間を通して計画的な教育が行われている。スーパービジョンや週1回のケーススタディを通して、中堅以上の療法士が若手療法士を指導する仕組みが構築されている。また、主任以上の指導者には指導スキルの評価が行われているなど、療法士の質向上に向けた仕組みと取り組みは秀でている。また、神経リハビリテーション研究部の医師の指導の下、多くの学会研究会等において発表した実績がある。また、研究助成金を得て多施設共同研究を行っており、書籍の執筆にも繋がっている。療法士職能団体それぞれの認定療法士やその他学会等が認定する専門制度などを有する療法士が数多く在籍している。これらの実績は全て数値化され、職員がモチベーションを高く持って取り組む仕組みが構築されており、高く評価する。

 

2.4.3 社会福祉士はチーム医療の実践に適切に関与している

【審査結果報告】社会福祉士は、毎朝行われる病棟のモーニングミーティングや多職種カンファレンス等に参加して、担当患者の情報収集や情報共有を行い、チームの一員としてチーム医療の推進に寄与している。患者・家族の意向を踏まえ、必要な介護体制の確保や社会復帰に向けた準備の進捗状況を多職種と共有している。医療・介護・福祉など、社会資源の利用を視野に院外の関係機関の担当者と連携し、患者家族およびチームにフィードバックしていることは高く評価できる。

 

2.4.4 社会福祉士は質向上に向けた活動に取り組んでいる

【審査結果報告】社会福祉士の援助技術・支援の質向上に向けて、法人では自己研鑽やスキルアップを支援している。また、ラダーに基づいた教育体制を構築しており、医療ソーシャルワーク業務指針の遵守に取り組んでいる。スーパービジョンやストレングス視点の強化を目指し、週1回事例検討会を実施している。院外の研究会、学会に年に1回演題を発表することを目標としており、継続して取り組んでいる。業務改善活動として、各委員会や会議などで患者のニーズを発信し、改善活動に向けた提案を行っている。院外関係機関と多数の活動実績があり、医療・介護の連携強化に貢献している。また、森之宮地域において、安心して暮らせるまちづくりに参画していることは地域貢献として意義深く、高く評価できる。

 

3.1.1 初期評価を適切に行っている

【審査結果報告】全病棟統一した方法により、入院当日から系統的な初期評価を行っている。急性期からの連携パス、診療情報、サマリー等や社会福祉士が直接聴取した医療的・社会的な情報は、電子カルテ内で管理され、入院担当者が事前に把握できる仕組みになっている。入院当日に、医師、看護師、療法士、社会福祉士、管理栄養士が合同でADL評価を行い、生活機能と背景因子がICFシートで整理されている。ICFシートの各カテゴリーの項目は、プラス面・マイナス面まで評価している。患者・家族の希望や意向については情報収集・情報伝達共有シートも活用されている。チームで初期目標を共有し、入院3日目の初回カンファレンスで見直しが行われている。各職種が客観的評価を用いて、神経学的所見、運動機能、高次脳機能、ADL・IADLなどを専門的に評価し、社会的背景は社会福祉士がインテークを行っている。口腔・嚥下機能については歯科医師・歯科衛生士、高次脳機能障害患者には公認心理師がチームに加わり、作業療法士、言語聴覚士と分担しながら評価を行っている。また、薬剤師、義肢装具士もカンファレンス等に参加して協働しており、初期評価の取り組みは高く評価できる。

 

3.2.1 各職種により患者に必要なリハビリテーション・ケアを実施している

【審査結果報告】入院当日は多職種合同評価、ベッドサイドでのADL評価や転倒リスク評価、食事評価などを行い、療養環境や介助方法、自立度などが速やかに決定されている。リスク管理を含め、個別訓練の指示やADL指示が出され、入院初日から、安全面に配慮した質の高いリハビリテーション・ケアが実施されている。日常生活の自立に向けて、ADLの最大能力と実行能力の乖離を少なくするために様々な工夫が行われている。療法士が朝夕時間に個別ADL訓練を行い、日中との差について評価を行っている。自立チェックリストは医師からの指示で開始され、夜間を含めた評価により動作の自立判断が行われている。重症者の食事には、管理栄養士や歯科衛生士を含む栄養・摂食の職種横断的な専門チームが介入し、質の向上が図られている。また、入浴チームの活動、患者の主体性を引き出すための自主訓練応援シート、趣味や個人因子を尊重した余暇活動の関わりなどが組織的に行われている。薬剤師は調剤相談や服薬指導に対応し、義肢装具士は歩行・装具カンファレンスに参加し、管理栄養士は嚥下食調理指導などを行っている。各職種が専門性を活かしながら必要なリハビリテーション・ケアを実施しており、高く評価したい。

 

3.2.2 リハビリテーションの進捗状況を共有している

【審査結果報告】患者の最新情報は、病棟申し送り表で重要事項を共有し、電子カルテで実施記録などを確認している。また、スケジュールはベッドサイドの掲示、朝ミーティング等では多職種で情報を共有し、把握している。療法士の評価データは履歴一覧機能で経時的に把握しやすく、担当者から代行者への情報共有は履歴も確認が可能である。院内略語集を整備している。リハビリテーション・ケアの進捗に合わせた自立度の拡大については、評価チェックリスト、変更報告書、ピクトグラム、自立度を一覧化したsafe and soundボード、医師のカルテ指示などにより、一連の流れが明確になっている。自主練習についても、カンファレンスにおける提案や応援シートの作成、療法士から看護師の技術移転、カレンダー式の記録など、一連の流れが把握でき、患者・家族と情報が共有されている。医師が中心となり、チームカンファレンスの記録や患者・家族との面談の内容を記録し、患者・家族の意向などがチームに迅速に共有されているなど、リハビリテーションの進捗状況を共有する仕組みが確立し、患者・家族に伝えられており、高く評価したい。

 

3.3.2 新たな課題の解決に向けたリハビリテーション・ケアを実施している

【審査結果報告】新たに生じた課題について、担当チームや専門チームがカンファレンスで議論し、内容はカンファレンスシートや経過記録にて共有されている。また、目標達成までの期間や具体的な介入計画は電子カルテで共有されている。カンファレンスでは、各専門職の特性などを考慮し、役割分担や解決方法について、チームで短時間に綿密に議論されている。課題に応じて公認心理師や薬剤師、義肢装具士などが参画し、管理職も助言しながら議論が展開されている。低栄養や気管カニューレを有する患者に対しては、栄養サポートチーム(NST)や摂食サポートチーム(EST)が介入し、担当者チームと意見交換や相談支援が実践されている。倫理面で配慮が必要な症例は、病棟管理職会議で統一書式を用いて倫理カンファレンスが開催されている。難渋事例はベッドコントロール会議で課題のトリアージや提言を行い、重要事例は倫理委員会に相談する仕組みである。高次脳機能障害者の自宅復帰についても十分な議論がされており、チームで患者の状態を把握し、新たな課題の解決に向けてリハビリテーション・ケアに繋げていることは高く評価したい。

 

上記以外の項目については、すべてⅡ評価(適切に行われている)を取得しております。

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