リハビリテーション部 サマリーデータ
2024年度
医療の質・治療実績で示された脳卒中リハビリテーションによる治療実績についての詳細をご紹介します。
1.運動麻痺について
- どれくらい「手足の動き」が回復したかを評価するために、FMA(Fugl-Meyer Assessment)という評価方法を採用しています。
- FMAにおける運動機能(Motor score)は、上肢(満点66点:肩/肘/前腕/手/手指)と下肢(満点34点:股/膝/足)を評価します。この項目には、協調性/スピードの評価も含まれます。
- 点数が「大きくなる」ほど、改善したことを示しています。
上肢
FMA上肢は、入院時:40.2±24.9点から退院時:46.1±23.1点へと、平均値で5.9点が改善しました(図1A参照)。上肢の運動麻痺が改善したことを示しています。

図1A FMA上肢における平均値の変化
下肢
FMA下肢は、入院時:22.2±10.6点から退院時:25.4±9.4点へと、平均値で3.2点が改善しました(図1B参照)。下肢の運動麻痺が改善したことを示しています。

図1B FMA下肢における平均値の変化
麻痺手の実用度
麻痺手の実用性は、入院時と比較して、退院時には改善しました(図1C参照)。実用的に手が使えるようになった方が増えたことを示しています。

図1C 麻痺手における実用度割合の変化
(補足)
実用手:手が実用的に使える(箸を使う、字を書く、パソコンのタイピングなど)
補助手:手が補助的に使える(物を持つ、握る・離す、物を移動させるなど)
補助上肢:腕全体で補助的に使える(体と腕で物を挟む、腕で物を押さえるなど)
機能的使用困難:手・腕全体を実用的・補助的に使えない
2.上肢機能について
- どれくらい「上肢機能」が回復したかを評価するために、ARAT(Action Research Arm Test)およびMAL(Motor Activity Log)という評価方法を採用しています。
- ARAT(満点57点)は、19項目(掴み、握り、摘まみ、粗大運動)を4段階で評価します。
- MAL(満点)は、14項目(日常的な行為)の使用頻度(AOU)と動作の質(QOM)を5段階で評価します。
- 点数が「大きくなる」ほど、改善したことを示しています。
ARAT
ARATは、入院時:26.0±26.6点から退院時:32.7±26.2点へと、平均値で6.8点が改善しました(図2A参照)。上肢機能が改善したことを示しています。

図2A ARATにおける平均値の変化
MAL-AOU
MAL-AOUは、入院時:2.1±2.3点から退院時:2.7±2.3点へと、平均値で0.5点が改善しました(図2B参照)。手の使用頻度が改善したことを示しています。

図2B MAL-AOUにおける平均値の変化
MAL-QOM
MAL-QOMは、入院時:2.1±2.3点から退院時:2.6±2.2点へと、平均値で0.5点が改善しました(図2C参照)。手の動作の質が改善したことを示しています。

図2C MAL-QOMにおける平均値の変化
3.下肢機能(移動能力)について
- どれくらい「下肢機能」が回復したかを評価するために、10-MWT(10-Meter Walking Test)とTUG(Timed up and Go test)という評価方法を採用しています。
- 10MWTは、10mの直線を歩行する際の速度や歩数を評価します。
- TUGは、椅子から起立し、3mを歩行で往復した後、椅子に着座するまでの所要時間を評価します。
- 点数が「小さくなる」ほど、改善したことを示しています。
10m歩行速度
10m歩行速度は、入院時:15.2±11.3秒から退院時:14.1±11.0秒へと、平均値で1.1秒が改善しました(図3A参照)。歩行能力が改善したことを示しています。

図3A 10m歩行速度における平均値の変化
TUG
TUGは、入院時:26.0±27.0点から退院時:18.3±18.9点へと、平均値で7.7点が改善しました(図3B参照)。立ち上がり~歩行~着座までの移動能力が改善したことを示しています。

図3B TUGにおける平均値の変化
4.認知機能について
- どれくらい「認知機能」が回復したかを評価するために、MMSE(Mini-Mental State Examination)という評価方法を採用しています。
- MMSE(満点30点)は、11項目(口頭・書字命令、動作、図形模写など)で評価します。
- 点数が「大きくなる」ほど、改善したことを示しています。
MMSE
MMSEは、入院時:19.8±10.2点から退院時:22.5±9.8点へと、平均値で2.7点が改善しました(図4A参照)。認知機能が改善したことを示しています。

図4A MMSEにおける平均値の変化
5.日常生活動作能力(ADL)について
- どれくらい「日常生活動作」が回復したかを評価するために、FIM(Functional Independence Measure)という評価方法を採用しています。
- FIM(満点126点)は、運動項目(91点満点:13項目)と認知項目(31点満点:5項目)で評価します。
- 自立度を、6段階(全介助、最大介助、中等度介助、最小介助、監視/準備、修正自立、完全自立)で評価します。
- 点数が「大きくなる」ほど、改善したことを示しています。
食事
食事は、退院時には『69%』の方が自立となりました(図5A参照)。

図5A 食事における実用度割合の変化
整容
整容は、退院時には『65%』の方が自立となりました(図5B参照)。

図5B 整容における実用度割合の変化
更衣
更衣は、退院時には『60%』の方が自立となりました(図5C参照)。

図5C 更衣における実用度割合の変化
トイレ
トイレは、退院時には『61%』の方が自立となりました(図5D参照)。

図5D トイレにおける実用度割合の変化
移乗
移乗は、退院時には『68%』の方が自立となりました(図5E参照)。

図5E 移乗における実用度割合の変化
歩行
歩行は、退院時には『52%』の方が自立となりました(図5F参照)。

図5F 歩行における実用度割合の変化
階段
階段は、退院時には『41%』の方が自立となりました(図5G参照)。

図5G 階段における実用度割合の変化
6.退院時における使用装具について
- 退院時における使用装具の総数について、歩行能力別に紹介します。
- 装具を使用された方の割合は21%でした。

(補足)
長下肢装具:両側支柱KAFO、ゲイトイノベーション
短下肢装具:AFO(プラスチック、金属支柱)、シューホーン、OMCF、オルトップ(AFO、AFO-LH、AFO-LHプラス)、
タマラック、ゲイトソリューション、GSプラスチック、両側支柱、UDフレックスAFO、ゴーオン
足部装具 :足関節サポーター
7.失語症について
- どれくらい「話すこと・聞くこと」が回復したかを評価するために、失語症重症度という評価方法を採用しています。
- 失語症重症度は、7段階(1:コミュニケーション困難 ~ 7:問題なし)で評価します。
- 点数が「大きくなる」ほど、改善したことを示しています。
失語症重症度
失語症重症度は、軽度以上の割合は14%増加し、重度割合は18.3%減少しました(図7A参照)。失語症の重症度が改善したことを示しています。

図7A 失語症重症度における各段階の割合の変化
8.運動障害性構音障害について
- どれくらい「ことばを話すこと」が回復したかを評価するために、発話明瞭度という評価方法を採用しています。
- 発話明瞭度は、9段階(1:よく分かる ~ 5:全く分からない)で評価します。
- 点数が「小さくなる」ほど、改善したことを示しています。
発話明瞭度
発話明瞭度は、1よくわかるが17%増加し、3話題を知っていればわかる・以下が15.2%減少しました(図8A参照)。聞き取りやすさが改善したことを示しています。

図8A 発話明瞭度における各段階の割合の変化
9.摂食嚥下障害について
- どれくらい「食べること」が回復したかを評価するために、FILS(Food Intake LEVEL Scale)という評価方法を採用しています。
- FILSは、摂食状況のレベルを10段階(Lv1:嚥下訓練を行っていない ~ Lv10:問題なし)で評価します。
- Lv1~Lv3を経管栄養、Lv4~Lv6を経管・経口併用、Lv7~Lv9を経口摂取、Lv10を問題なしと表記しています。
- 経管抜去率は、40.0%でした。
- 点数が「大きくなる」ほど、改善したことを示しています。
FLIS
FILSは、普通食摂取が25%増加し、非経口摂取が13.9%減少しました。(図9A参照) 。摂食嚥下能力が改善したことを示しています。

図9A FILSにおける各段階の割合の変化
