治療について

「下閉塞性動脈硬化症」と診断がついた患者さんには、その病状にあわせて治療法をご提案します。

比較的症状の軽微な場合

薬物治療

高血圧、糖尿病、脂質異常症に対する薬物治療はもちろんのこと、症状の軽微な患者さんには、まずは「抗血小板薬」と呼ばれる血液をサラサラにするお薬を服用いただき、経過を見ます。

下肢閉塞性動脈硬化症のお薬(抗血小板薬)について

 

運動療法

間歇性跛行の患者さんは、適切なお薬と運動療法のみでカテーテル治療が不要になるケースもあり、非常に有効です。
そこで、カテーテル治療を行わない患者さんには、お薬とあわせて運動療法指導を含めた生活習慣の改善指導をさせていただきます。
また、カテーテル治療を行う場合にも入院中必要に応じて、理学療法士が運動療法指導を行います。
 

 

入院治療が必要な場合

カテーテル治療

カテーテルと呼ばれる細い管を血管の中に通して狭くなった血管を内側から風船で広げたり、そこにステントと呼ばれる金属製の網状の管を入れて固定したりすることで、血流の流れを元通りに回復させる治療法です。
所要時間は1~2時間程度で傷口も小さく、患者さんの負担が軽くてすむ治療法です。
 

ハイブリット治療

動脈硬化が進行してカテーテル治療が困難な箇所には、血管の詰まった箇所を迂回するバイパス手術を、カテーテル治療と併用して行います。
 

外科的バイパス手術

諸検査でバイパス手術が適切と思われた症例、カテーテル治療が不成功に終わった症例には外科的バイパス手術を勧めさせていただく場合があります。

 

その他の治療法

腰部交感神経ブロック

腰椎にある「交感神経節」と呼ばれる箇所に薬剤を注入して、下肢の血流や痛覚を支配する神経を阻害(ブロック)する治療法です。
これにより、下肢の血管を拡張し血流を増加させたり、疼痛反射を抑えて痛みを軽減したり、下肢冷感を改善したりする作用があります。 
当院では、足に傷のある治療抵抗性の重症虚血肢の患者さんに対して保険適応内で行うことができます。
局所麻酔を使用し1時間程度で行えます。

 

炭酸泉療法

炭酸泉と呼ばれる、二酸化炭素の溶け込んだ発泡性のお湯に患部をひたす炭酸泉療法は、末梢循環改善効果から高血圧や心臓病の治療として保険認可されています。
当院では足に傷のある重症虚血肢の患者さんに対してベッドサイドで行っております。

 

LDLアフェレーシス(レオカーナ)

LDLアフェレーシス療法は、患者さん自身の血液を特殊な機械の中に通してふたたび体内に戻すことで、脂質(コレステロール)改善作用、血液粘度改善作用、血管拡張作用などにより血流改善を期待して使用するものです。
当院では足に傷のある治療抵抗性の重症虚血肢の患者さんに対して保険範囲内で行うことができます。

抗血小板薬は大切なお薬です

閉塞性動脈硬化症に対して、抗血小板薬という血液をサラサラにするお薬が処方される場合がありますが、その目的は大きく分けて4つあります。

①間欠性跛行症状の改善

間欠性跛行症状を改善するために処方されます。
シロスタゾール(プレタールなど)というお薬が有効です。

 

②脳梗塞や心筋梗塞の予防

閉塞性動脈硬化症と診断された方は将来、脳梗塞や心筋梗塞といった命にかかわる病気を発症しやすいと言われています。
アスピリン(バイアスピリンなど)やクロピドグレル(プラビックスなど)、コンプラビン(クロピドグレルとアスピリンの配合錠)、チクロピジン(パナルジンなど)はこれらの予防薬として有効と言われています。

 

③異物反応の予防

カテーテル治療の際に、ステントという金属の筒を狭窄・閉塞した血管に留置することにより血流を回復させます。
ステントは体にとって異物であり、血をサラサラにするお薬を飲んでいないと異物反応が起こり、せっかく血の流れが良くなったステントの内部に血栓が形成され閉塞する危険性があります。
これを防ぐために、ステントを留置した場合少なくとも数カ月間はアスピリン(バイアスピリンなど)とクロピドグレル(プラビックスなど)の2剤を内服することが望ましいとされています。
ステントは種類にもよりますが、数か月で体の一部となり異物反応が起こらなくなりますので、その後は1剤に減量することが可能です。

 

④再発の予防

カテーテル治療の際にステントを留置した場合、低い確率ではありますがステントの内部にかさぶたの様な細胞増殖が起こり、再発をする方がいらっしゃいます。
シロスタゾール(プレタールなど)はこの再発の危険性を下げる作用があると言われています。

 

  • 抗血小板薬と言われるお薬はたくさんの種類があります。
  • 抗血小板薬は動脈硬化性疾患には非常に有効性の高い薬剤ですが、一方で効きすぎると出血性の合併症の危険性がありますので、医師の指示に従い内服量を決める必要があります。
  • ステント治療を受けた方が抜歯や、胃腸の内視鏡検査などで抗血小板薬の休薬を指示された場合はカテーテル治療を受けた病院、医師にまず相談が必要です。決してご自身の判断でお薬をやめたり、増やしたりしないでください。

 

 

診療のご予約・お問い合わせ先

早期診断、早期治療があなたの将来を大きく変えます。

森之宮病院の循環器内科では、下肢カテーテル治療のエキスパートが診断・治療いたしますので、他院でカテーテル治療が不可能と言われた方、下肢の切断を勧められた方、紹介状をお持ちでない方も一度ご相談ください。

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