医療技術と医療機器

無駄のない治療を可能にします

日本は様々な医療機器が保険認可を受けており、安全で効率的な治療を受けられる環境にあります。当院では条件が合えばそういった医療機器に加え、治験機器といった、まだ日本でも保険で認可されていない新しい医療機器も使用できる場合があります。

足の動脈は長さが1m近くもあるため、血管が細くなっているからといってどこにでもカテーテル治療を行って良いわけではありません。 過剰な治療はさまざまな合併症を引き起こす原因となるため、当院では炭酸ガス造影、血管内超音波、プレッシャーワイヤー、血管内視鏡、レーザー血流計などの検査法、機器を駆使して患者さんの状態や症状を正確に把握し、本当に治療が必要な部分に必要な分だけ治療を施すことを心がけています。

治療経験症例数の多さと、さまざまな医療機器を用いた丁寧な治療によって、当院のカテーテル治療における合併症の発生率は全国平均から大幅に低い値に抑えられています。

 

 

New!!「ジェットストリームアテレクトミー(JETSTREAM)」

当院では全国でも先駆けてJETSTREAMが使用でき豊富な経験を有しています。
今まで十分な拡張ができなかった頑固な石灰化病変に対して、石灰化を破砕する事により後に説明するDCBの効果を最大限に引き出すことが期待されています。

ジェットストリームアテレクトミーは下記のような患者さんに有効です

  • 浅大腿動脈に高度の石灰化病変を有する方
  • バルーンによる拡張では十分な拡張が期待できない方

この医療機器は使い方を間違えると破砕した石灰化が足の先に飛んで更なる下肢虚血を引き起こす可能性があるため、経験豊富で「適正使用指針」を遵守している川崎大三医師にご相談ください。

 

 

カテーテル治療の際に用いる新しい医療機器

「ドラッグコーテッドバルーン(DCB)」

当院では現在3種類のDCBが保険診療で使用できます。本デバイスは病変部を拡張するバルーンの表面に抗がん剤の一種である低容量のパクリタキセルを塗布する事により狭窄閉塞した血管(浅大腿動脈・膝窩動脈)を拡張した後、一定の確率で起こる再発を減らす目的で使用されるものです。メリットとしてはステントなどの異物を血管内に何も残さず治療でき、かつ長期間の開存率が期待できるという点です。もし再発した場合でも血管に異物が残っていないため2回目以降の治療の選択肢が多い点があります。

ドラッグコーテッドバルーンは下記のような患者さんに有効です

  • 浅大腿動脈に狭窄閉塞病変を有する方(病変長の制限がありますので医師にご相談ください)
  • 過去の治療で再発を繰り返す方(過去の治療の内容によっては使用できない場合がありますので医師にご相談ください)

ドラッグコーテッドバルーンを使用するには「適正使用指針」があり、使用できる施設・術者には制限があります。川﨑大三医師は使用資格を有しており、かつ多くの学会で適正使用について講演を行っております。

当院の川崎大三医師は今後使用可能となるDCBの臨床治験にも参加しており、新たなDCBが認可され次第、患者さんに合った適切なDCBを使用します。

 

 

「Eluvia™ドラッグエルーティングステント(DES)」

当院では2019年1月よりEluvia™ドラッグエルーティングステントが保険診療で使用できるようになりました。本デバイスは病変部を拡張するステントの表面に抗がん剤の一種である低容量のパクリタキセルを塗布する事により狭窄閉塞した血管(浅大腿動脈)をステントで拡張した後、一定の確率で起こる再発を減らす目的で使用されるものです。

ドラッグエルーティングステントは下記のような患者さんに有効です

  • 浅大腿動脈に狭窄閉塞病変を有する方
  • 過去の治療で再発を繰り返す方

Eluvia™ドラッグエルーティングステントを使用するには適正な使用法を習得する必要があり、川﨑大三医師は多くの学会で適正な使用法について講演を行っております。


当院の川崎大三医師は日本にEluvia™ドラッグエルーティングステントの導入前の国際共同治験にも参加しており、数多くの使用経験があり多くの患者さんでその有効性・安全性を確認しています。
 

 

 

「SUPERAステント」

当院では2019年1月よりSuperaステントが保険診療で使用できるようになりました。本デバイスは狭窄閉塞した血管(浅大腿動脈)を拡張する際に使用するステントの構造が特殊で他のステントに比べて卓越した拡張力(血管を元の状態に押し拡げようとする力)を有する事が最大の特徴です。この特徴により従来カテーテル治療の最大の弱点であった血管が石のように硬くなった石灰化病変や長い病変でも安定した長期の開存率が期待できるステントです。

Superaステントは下記のような患者さんに有効です

  • 浅大腿動脈に石灰化病変を有する方

Superaステントを使用するには適正使用指針があり、川﨑大三医師は多くの学会で適正使用について講演を行っております。

当院の川崎大三医師は海外(フランス)ですでに日本に導入前の段階から使用経験があり、日本にSuperaステントの導入段階早期から使用できる医師の一人です。

 

 

「バイアバーンステントグラフト(VIABAHN Endoprosthesis)」

当院では、浅大腿動脈の病変に対してバイアバーンステントグラフトを2017年2月より使用できるようになりました。本デバイスを使用できるようになる前は、浅大腿動脈の病変の治療手段としてはバルーンによる病変拡張か、自己拡張型ナイチノールステントの留置術のみが可能でした。浅大腿動脈の長区間の病変に対するこれらの治療方法では、慢性期に生じる再狭窄、再閉塞が問題になり、外科的バイパス術の成績を凌ぐものではありませんでした。本デバイスを使用できるようになってからは、浅大腿動脈の長区間の病変に対する慢性期に生じる再狭窄、再閉塞の低減が期待され、外科的バイパス術と同等の結果が期待できます。

バイアバーンステントグラフトは下記のような患者さんに有効です。

  • 慢性完全閉塞病変の方
  • 浅大腿動脈の長区間の病変

当院は心臓血管外科によるバイパス手術、循環器内科によるカテーテルを用いたバイアバーンステントグラフト留置術を両方行える環境にあり、患者さんの病態、希望に応じた選択ができます。

 

「アウトバックリエントリーカテーテル(OUTBACK reentry catheter)」

当院では2016年7月よりアウトバックリエントリーカテーテルを使用できるようになりました。本デバイスは、浅大腿動脈の閉塞病変に対してガイドワイヤーが血管の縁に進んでしまい再疎通が困難な際に、遠位部血管内に再疎通させるためのデバイスです。以前は、ガイドワイヤーが血管の縁に進んでしまい再疎通が困難な際には、足の先の方からもう一つカテーテルを挿入し2方向性(はさみうち)で再疎通させるしか方法はありませんでした。しかし、本デバイスを使用することにより、手技時間の短縮、造影剤量の低減、放射線被曝の低減により患者さんの治療中後の負担を減らせるようになりました。

アウトバックリエントリーカテーテルは下記のような患者さんに有効です。

  • 慢性完全閉塞病変の方
  • ガイドワイヤーが通らなかった方

アウトバックリエントリーカテーテルを導入するためには厚生労働省からの指導で本デバイスの適正使用についての講習が義務づけられており、認定されたトレーナーによる講習を受ける必要があります。

当院の川﨑大三医師はそのトレーナーのうちの一人であると同時に、実臨床において数多くの経験があり全国各地の学会での講演、実技指導を行っています。

川崎大三医師は日本国内で最もアウトバックの使用経験がありその有効性・安全性を論文に報告しております。

参考文献

Comparison of the OUTBACK® Elite Reentry Catheter and the Bi-directional Approach after Failed Antegrade Approach for Femoro-popliteal Occlusive Disease. J Atheroscler Thromb 24:1242-1248. Kawasaki D et al.

 

「クロッサーシステム(Crosser System)」

当院では、閉塞して硬い石のようになってしまった血管を貫通させる「クロッサーシステム」を大阪府下でいち早く導入しました。
これは毎秒2万回の振動を病変部に与えることにより、完全閉塞した固い血管にガイドワイヤーを通過させる医療機器です。従来の治療法が困難な閉塞性動脈硬化症の患者さんの場合、この「クロッサーシステム」を用いることで治療の選択を拡げ、安全かつ有効性の高い医療を提供できます。

クロッサーシステムは下記のような患者さんに有効です

  • 慢性完全閉塞病変の方
  • ガイドワイヤーが通らない方
  • 高度石灰化の進んでいる方
  • 透析を受けておられる方

クロッサーシステムを使用することで、従来治療が困難だった病変に対しての治療が可能になるだけでなく、治療時間の短縮にもなり患者さんの負担が軽減すると考えられます。

クロッサーシステムを導入するためには厚生労働省からの指導で、認定されたトレーナーによる講習を受けなければなりません。

当院の川﨑大三医師はトレーナーの資格を有しています。

川崎大三医師は日本国内で最もアウトバックの使用経験がありその有効性・安全性を論文に報告しております。

 

血管内超音波(IVUS:Intravascular Ultrasound)

血管の内側から超音波をあて血管内部の構造を把握できます。この検査により正確な血管のサイズを測定できます。また、詰まっている内容物(プラーク、石灰化、血栓)の判定に有効です。当院の川﨑医師は何十cmも閉塞した血管にワイヤーを通過させる際に、血管内超音波を併用することでワイヤーが血管内のどこにあるのかを確認しながら血管を傷つけることなくカテーテル治療をすることを得意とし、その成果を論文に報告しております。

参考文献

Novel use of ultrasound guidance for recanalization of iliac, femoral, and popliteal arteries. Catheter Cardiovasc Interv 71:727-33, 2008. Kawasaki D et al.

Comparison of the OUTBACK® Elite Reentry Catheter and the Bi-directional Approach after Failed Antegrade Approach for Femoro-popliteal Occlusive Disease.
J Atheroscler Thromb. 24:1242-1248, 2017. Kawasaki D et al.


閉塞血管のどこにワイヤーが通過しているかを血管内超音波で把握する

血管内視鏡(Angioscope)

胃カメラのように血管内部を小型カメラで観察します。様々な情報が得られるため、治療方針の決定に有効です。

 

レーザー血流計

足先にレーザー血流センサーをつけたままカテーテル治療を行うことで、治療効果の判定や合併症の早期発見を可能にします。
膝下3分枝動脈に対するカテーテル治療は特に難易度が高く、治療時間が長引きがちですが、この装置をつけることで3本の血管のうちどの血管をどこまで治療すべきかが判断でき、必要な治療のみにとどめることが可能であり、治療時間の短縮・患者さんへの負担の軽減につながります。

 

プレッシャーワイヤー(Pressure Wire)

血管の狭窄には軽症、中等度、高度狭窄があり、狭窄により血管の中の血圧が下がっていれば治療が必要です。この血管の中の血圧を測定できるのがプレッシャーワイヤーです。何10cmも狭窄が続いている場合に血圧が下がっている箇所だけを治療できるので、過剰な治療を避けることができます。

 

 

診療のご予約・お問い合わせ先

早期診断、早期治療があなたの将来を大きく変えます。

森之宮病院の循環器内科では、下肢カテーテル治療のエキスパートが診断・治療いたしますので、他院でカテーテル治療が不可能と言われた方、下肢の切断を勧められた方、紹介状をお持ちでない方も一度ご相談ください。

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